飛鳥山動物病院 徒然日記

飛鳥山動物病院のスタッフブログです!

日本橋のかつおぶし

日本橋かつおぶし」

私が、すこしほっこりした、飼い主様からのお話です。

 

あるご夫婦の大切な猫ちゃんが、

病気でごはんを食べなくなってしまいました。

 

ご夫婦にはお孫さんがいます。

埼玉の遠方に住む、小学生の男の子です。

普段から、時々遊びに来ていたそうです。

 

男の子は、その猫ちゃんが大好き!

でも、その猫ちゃんは、男の子が大嫌い!(笑)。

来るのがわかると、いっつも怒って、姿を隠してしまうそうなんですが

男の子はそれでも、好きで好きでたまらなかったそうです。

 

そんな、大好きな猫ちゃんが、体調不良で食べられないと聞いて、

なんとかしてあげたい、と思った男の子。

ここからの行動力、すごいです。

 

「関東一おいしいかつおぶしなら、きっと食べるはず!」と、

一生懸命にお店をさがし、見つけ出したお店

東京日本橋にある、老舗の高級かつおぶし販売店『大和屋』

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ここは、俳優の里見浩太朗さん行きつけの高級鰹節を取り扱うお店。

このお店を調べあげると、なんと自分で埼玉から日本橋まで出向き、

その猫ちゃんのためにかつおぶしを購入。

手に入れた高級かつおぶしを手に、お見舞いに向かったそうなのです。

 

TV番組「はじめてのお使い」をはるかに凌ぐ行動力です。

 

男の子が、この高級かつおぶしをお見舞いに持って行ったところ、

他には何にもたべなかった猫ちゃんが、

なんと、ぺろりと平らげてくれたそうです!

 

きっと、とってもおいしくて、

そして、男の子のやさしさが、うれしかったんでしょうね。

 

そして、それを機に、猫ちゃんは男の子のことが、

とっても大好きになりました。

自宅へお見舞いに行くと、男の子を玄関までお出迎えして

スリスリしてくるくらいにです。

 

残念ながら、その後猫ちゃんは亡くなってしまうのですが、

晩年は、男の子が差し入れる「かつおぶし」を食べ、

大好きな男の子に撫でてもらいながら、穏やかな毎日だったそうです

 

大好きな猫ちゃんのために、日本橋かつおぶしを手に入れる。

そんな小学生の愛情深さに、すこし胸がジーンとしました。

 

今度私も、大和屋のかつおぶし、買いに行ってみたいと思います。

 

獣医師 川口

 

 

 

 

研修参加報告(埼玉動物医療センター)

本日も、勤務動物病院のご配慮により、

2次診療施設で研修させていただきました。

研修先:埼玉動物医療センター(入間)

指導教官:石川先生(同センター副院長)

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今日も多くの症例を通じて、たくさんの勉強をさせていただきました。

 

 

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また、埼玉動物医療センターの先生方と

日々の悩ましい症例について相談するお時間もいただきました。

(写真はパワーポイントを通じて、先生方に症例相談をしているところです)

 

今回も大変勉強になりました。

明日以降の診療に役立てていきたいと思います。

 

飛鳥山動物病院

獣医師 川口

文献紹介(犬の出血性下痢症候群)

【文献・犬・消化器】

犬の急性出血性下痢症と C.perfringensの消化管内増殖には相関があるかもしれない(2014年・PMID4895553) 

Unterer, et al. “Endoscopically Visualized Lesions, Histrogic Findings, and Bacterial Invasion in the Gastrointestional Mucosa of Dogs with Acute Hemorrhagic Diarrhea Syndrome” Jornal of Veterinary Internal Medicine.28(1) 52-58

 

PubMedリンク

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4895553/

本文:無料公開(PDF)

 

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==アブストラクト==

<背景>

イヌの出血性胃腸炎(HGE)症候群の病因は不明であり、

病理組織学的検査および微生物検査は剖検例でわずかに実施されるのみである。

 

<目的>

犬HGEの特徴的な粘膜病変(肉眼/組織学的)を特定し、原因菌種を同定すること。

 

<動物>

HGEと診断された犬10頭およびコントロール犬11頭。

事前に抗生物質が投与された犬と、

出血性下痢の原因に他の基礎疾患が診断された犬は除外された。

 

<方法>

HGEの犬 10頭に消化管生検を実施し、WSAVAガイドラインに従って評価した。

クロストリジウム属およびパルボウイルスの存在を組織学的/免疫化学的に調査した。

培養には、滅菌鉗子で採取した十二指腸生検組織を利用した。

 

<結果>

粘膜病変は、腸でのみ認められ、胃には見られなかった。

 

Clostridium perfringens が、全てのHGE犬の小腸粘膜表層で多量に検出された。

対照群では、C. perfringensは11頭中1頭のみでしか検出されなかった。

 

<著者の考察>

この研究は、C.perfringensと急性出血性下痢との相関性を示唆している。

病変が胃に存在しないことから、「出血性胃腸炎HGE」という用語は、

「急性出血性下痢症候群」と改める必要性があるのではないか。

 

ド:急性出血性下痢症候群、血性下痢、C. perfringens、出血性胃腸炎

 

<コメント>

はい、とあるブログのまねっこです(笑)

でも、まねっこでも勉強になるし、

私もできる限り(開業するなら、なおさら)文献も読まねばと思っています。

 

今回の文献は

「出血性大腸炎の紹介って、ものすごく古い専門書にはあるけれど

現在の獣医内科学ではどのような位置づけなんだろうか?」

という素朴な疑問で調べたのが、とりあげた理由です。

 

文献のアブストラクトでは

C.perfringensと急性出血性下痢に相関性あり」とあります。

 

しかし、そもそもC.perfringens

健康な哺乳類の消化管内には存在している菌ですから、

これが同定されたから、急性出血性下痢の原因として考えていいのだろうか?

と、途中からは別の疑問を抱いて、この文献を読ませていただきました。

 

著者の考察によれば

「急性出血性下痢の犬で、すべての十二指腸粘膜表面に、

 C.perfringensが多量に認められたが、対照群にはほとんど見られなかった。

統計学的に優位な差が見られた)

 加えて、十二指腸粘膜の細菌叢は、個体により異なるはず。

 だから、C.perfringensの単一増殖と出血性下痢には、相関があるに違いない。」

でも、C.perfringensの増殖が、病気の原因なのか二次的変化かはわからない。

とのことでした。

 

また、詳しい紹介は割愛しますが、別の報告では

急性出血性下痢の原因として、C.perfringens以外にも

サルモネラカンピロバクターのような腸粘膜侵入性細菌が関与する説や

腸内のアレルギー反応が関与するとの説もあります。

 

この文献だけで

「急性出血性下痢の原因はC.perfringensだ!」とは言えないようです。

複合的な要因があるのかもしれません。

 

いずれにせよ、この「犬の出血性下痢症候群」は、

適切な応急処置が実施されないと、命に関わる疾患であり、

まずは迅速な救命処置を実施することが肝要であることを、再認識しました。

明日以降のの治療に役立てていきたいと思います。

 

<ご注意ください>

このブログ内で紹介している学術情報は、

随時新しい情報・適切な文章に訂正加筆される可能性があります。

特に一般の飼い主様は、このブログ内の情報を鵜呑みにせずに、

必ずかかりつけの動物病院にご相談・ご確認されるようお願いいたします。

 

獣医師 川口

 

 

「Yes, and...」で行うミーティング

当院では (まだ開業前なのに、すこし奇妙ですが)

定期的にスタッフミーティングを実施しています。

 

複数メンバーによるチーム医療の質を高めるには

個々の力を育てることはもちろんですが、

お互いに協力しあう礎作りも重要だと、当院は考えるからです。

 

ただ、価値観も考え方も違うメンバーが集まって

何か一つのテーマで話合うことは、簡単ではありません。

 

よくやってしまいがちな失敗が

「いや、それは違うよ」「でも、そうじゃないよ」

といった、相手の意見を否定していく論法で会議がすすむこと。

この手法は、一見活発に話し合いがなされているように見えますが、

結果として、建設的なアイディアが生まれるよりも前に、

感情論のケンカになってしまうことも少なくありません。

 

そこで、当院のスタッフミーティングでは

一つ、ルールを設けています。それは、

 

「Yes, and..(いいね、それならこうしたらどうかな)」と発言する

 

詳しい手法は、この動画を見ていただくとわかりやすいと思います。

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スタンフォード白熱教室(抜粋)ブレストのコツ「Yes, And」 - YouTube

 

この授業で講師をされているのは、

スタンフォード大学のエグゼクティブコースで教鞭をとられている、

ティナシーリグ先生です。

このエグゼクティブコース受講生から、

GoogleFacebookといった世界規模の企業で

クリエィティブな経営マネジメントを実践しているスタッフが

数多く生み出されており、

当院でも「よりクリエイティブな仕事ができるように!」と

積極的に彼女の考え方を取り入れようと考えております。

 

実際にこの「Yes, and」ルールを実践しながら会議すると、

今までが嘘に思えるくらい、

クリエイティブでワクワクする案が生まれます。

また、参加するスタッフもわいわいと笑顔で会議してくれるのです。

 

こういう楽しい雰囲気の会議は、スタッフのモチベーションを持ち上げ、

飼い主様へ還元するサービスを豊かにすることにつながる、と思っています。

 

さぁ、次回はどんな素敵なアイディアが飛び出すのか、

今から会議が楽しみです。

 

飛鳥山動物病院 代表

川口

文献紹介ブログのご案内(獣医療関係者向け)

<文献紹介ブログのご案内>

私がお世話になっている、二次診療施設の獣医さんが

獣医療関係者向けの文献紹介ブログを開設されました。

 

ねころんで探せる小動物医療のジャーナルクラブ

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飼い主様には少し難しい内容ばかりですが、

獣医さん(特に勤務医や開業医)にとって、とてもありがたいサイトです。

(写真は私の家の猫で、ブログとは関係ありません)

 

獣医療は日々進歩・変化しています。

その都度、新しい情報を基に知識をブラッシュアップしていく必要があるのですが、

その情報のほとんどが「英語文献」です。

 

ですから、新しいことを調べようとすると

(私のようにあまり英語が得意でない場合)

英語辞書片手に、うーんうーん悩みながら読み進める必要があるのです。

 

そこで、

小動物医療の臨床現場で役立つ論文情報を

 日本語で蓄積して、簡単に検索できるように」と

このブログを開設されたそうなのです。大変心強いです。

 

せっかくのすばらしいブログですから、

飛鳥山動物病院ブログを閲覧された方(特に獣医さん)に

ぜひおすすめしたく、ご紹介いたします。

もしよければ、ご確認ください。

 

獣医師 川口

 

 

開業のご挨拶 (代表 川口)

はじめまして。

飛鳥山動物病院 代表の川口です。

この度、西ケ原で開業させていただくことになりました。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

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※写真は、西ケ原の旧古河庭園です。心洗われる景色ですよね!

 

僭越ながら、自己紹介させていただきます。

 

西ケ原は北区・豊島区・文京区の3区が隣接する地域ですが

そのうち、文京区は私の父の故郷です。

 

父は、母との結婚を機に、

母の実家である東京都日野市へ転居し

そこで、私が生まれました。

その後私は、小学校〜大学をすべて東京で過ごしました。

 小学校:市立第二小学校 (日野)

 中学高校:国学院久我山 (杉並)

 大学:東京農工大学 (府中)

 

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※小学生の頃から、獣医になるのが夢でした。

 愛犬「ちょび」と写っている高校生の私は、

 まるでサラリーマンみたいなおっさん姿ですね(笑)

 

私の家は、けして裕福ではなかったけれど、

父と母が一生懸命に、私が勉強に専念できるよう、学費を準備してくれて

おかげで、念願だった獣医にもなることができました。

父と母には、深く感謝しています。

 

大学卒業後は、埼玉に就職しました。

大きなグループ病院でしたので、たくさんの症例経験ができ、

また副院長にも任命してもらい、院内マネジメント従事もさせてもらえました。

 

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その後、複数の動物病院で勤務を経験し、(すべて埼玉県内の病院です)

現在は、大学先輩の病院(本庄犬猫病院)でお世話になりながら、

開業準備させていただいています。

 

独立開業するにあたり、当初は埼玉県内を考えていたのですが、

なかなかいいご縁に恵まれませんでした。

 

そんななか、ふと訪れたこの西ケ原に「一目惚れ」してしまい

その場で、「ここだ!」と独立開業を決めたのですが、

この地域が、実は父の故郷だと知ったのは、開業決定後でした。

不思議なご縁もあるものですね。

  

この地域の皆様の、笑顔を守るお仕事ができたなら、

それが、父母へのご恩返しにもなるような気がして、

今から、とてもワクワクしています。

 

十数年ぶりに東京に帰ってきました。

地域の皆様のお役立ちになれるよう、勤めてまいります。

どうか、末長くよろしくお願いいたします。

 

飛鳥山動物病院 代表

川口

スタッフミーティング!

今日はスタッフミーティングを実施しました。

 

ん?開業もしていないのに、スタッフミーティング?

少し驚かれるかもしれませんね。

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実は、まだ飛鳥山動物病院は開業しておりませんが、

「ぜひ一緒に働きたいです!」と、志を共にしてくれる、

頼れるスタッフがすでにいるのです!

開業前ではありますが、既に何度も、企画会議を実施させてもらっています。

本当に、ありがたいことです。

 

まだオープン前ですので、お名前と顔は伏せさせていただきますけれども、

すこしだけ、(自慢の!!)スタッフをご紹介いたします。

 

Hさんは、動物看護師の資格も有する医療ケアトリマーさんです。

柔らかい物腰と、癒しを与える優しい雰囲気がすばらしい!スタッフです。

今後は、動物看護師の知識と経験を活かして、

医療ケアに配慮したトリミング、皮膚に優しいマイクロバブルケアなど、

動物病院ならではのトリミング担当になっていただく予定です。

また、インスタグラムなどSNSを通じて、

美しいトリミングフォトや病院情報を発信する技術も得意です!頼りにしてます!

 

Sさんは、動物さんのリハビリテーションを得意とする動物看護師さんです。

小動物医療への情熱的な想い、明るい雰囲気がすばらしい!スタッフです。

現在、小動物リハビリテーションに関する海外資格である、

Certified Canine Rehabilitation Practitioner(テネシー大学)の取得のために

準備・勉強中という、熱意のある動物看護師さんです。

今後、当院におけるリハビリ科の担当になっていただく予定です。楽しみです!

 

医療ケアトリミング部門、小動物リハビリ科部門、

ともに現在準備中の企画ではありますが、

きっと、地域のみなさまの安心につながることと、確信しております。

 

現在、開業に向けて鋭意準備中です!

どうか皆様、開院までもうしばしお待ちください。

 

飛鳥山動物病院 代表

川口