飛鳥山動物病院 徒然日記

飛鳥山動物病院のスタッフブログです!

セミナー参加報告 (CBC 石田卓夫先生)

先日、群馬前橋で開催された学術セミナーに参加しました。

講師:石田卓夫先生

テーマ:CBC

 

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現在勤務している動物病院のご配慮により、

夜の学術セミナーに参加させていただきました。 

 

CBCとは、Complete Blood Count  (全血球検査)のことです。

血液中の、赤血球・白血球・血小板といった成分をカウントし、

貧血の有無・炎症の状態などを確認します。

 

このCBC、実に頻繁に行われる検査です。

それは、特に「体調が悪いけれども、なぜなのかわからない」時に、

広く様々な異常をひろいあげる目的で実施する検査のひとつだからです。

このような目的の検査を、スクリーニング検査といいます。

 

それゆえ、CBCを実施した結果から、何が疑われるのか?

検査結果の評価はとても複雑となることもあります。 

 

今回のセミナーでは、検査手技のコツ紹介に始まり、

実際に得られた結果の評価方法についてまで、詳細にご説明いただきました。

明日以降の診療に役立てていきたいと思います。

 

獣医師 川口 

セミナー参加報告(胸部レントゲン検査 織間先生)

 先日、群馬前橋にて開催された学術セミナーに参加しました。

講師:織間先生

テーマ:胸部レントゲン検査

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勤務している動物病院のご配慮で、

群馬の学術セミナーに参加させていただきました。

 

胸のレントゲンを撮影するシチュエーションというのは

「呼吸が荒い・息が苦しい」時、

すなわち、かなり重い症状で来院した動物さんに、

一刻も早く適切な治療を施す必要のある時です。

 

それゆえ、胸部レントゲン検査の評価は、

その直後の治療の成績につながります。

「救命に関わる重要検査」なのです。

 

今回、この重要なレントゲン検査に関して、

画像診断学の権威である織間先生より、詳細にご講演いただきました。

明日以降の診療に役立てたいと思います。

 

獣医師 川口

セミナー参加報告 (画像診断 小野先生)

先日、勤務病院のご配慮により、

「あさか台動物病院」さんにて開催された、学術セミナーに参加しました。

講師:小野 晋 先生

テーマ:画像診断

 

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今回のセミナーは「症例相談」という形式でした。

普段の診療で疑問に思った検査画像を、参加者がもちより、

画像診断の権威である小野先生に相談する、というスタイルです。

 

今回のような症例相談形式のセミナーに参加すると、

「あぁ、こんなにもたくさんの先生たちが、

 日々様々なことに悩み、苦しみながら、

 でも、なんとかしたいと、すこしでも成長したいと研鑽されているのだな、

 私もまけずにがんばらねば!」とガッツをもらえます。

 

今回セミナーにて学ばせていただいたことを活かし、

明日からの診療にて、より精度の高い画像診断ができるよう努めたいと思います。

 

獣医師 川口

 

研修参加報告 (埼玉動物医療センター)

先日、勤務動物病院のご配慮により、2次診療施設で研修させていただきました。

研修先:埼玉動物医療センター(入間)

指導教官:石川先生(同センター副院長)

 

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このセンターは、埼玉県でも有名な2次診療施設です。

 

そもそも、「2次診療」というのは何か?と言いますと、

いわゆる「町のお医者さん・かかりつけ病院」が「1次診療」、

その「1次診療」で手に負えないような難治症例や、診断困難症例を

ひきうけてくださる専門診療が「2次診療」です。

 

ここ埼玉動物医療センターは、埼玉県でも有名な2次診療施設、

特殊な画像診断設備である、CTとMRIを完備し、

専門外来として、腫瘍・眼・整形外科・皮膚・神経が存在します。

 

私はこのセンターで、専門外来科ではなく、「総合診療科」で研修に参加しています。

「総合診療科」というのは、かみくだく

「何が原因かはっきりしない(専門科に分類しづらい)難しい症例を紐解いて、

 しっかりと診断へと導き、適切な治療をほどこす」科です。

 

ですので、ありとあらゆる疾患が集まり、

そのひとつひとつに、論理的な診断がされていく行程を研修できます。

広く深く、勉強ができるというわけなんですね!

 

このセンターの先生たちは、どの方もとても勉強熱心です。

自分自身を成長させよう!と、熱意を持って仕事されていて、

私もエネルギーがもらえます。とても有意義な研修です。

 

また次回も楽しみです。

 

獣医師 川口

 

 

 

セミナー参加報告(腹部Echo実習 宮林先生)

先日、横浜で開催された腹部エコー実習に、勤務病院の計らいで参加させていただきました。

講師:宮林先生(アメリカ獣医放射線学認定専門医)

実習内容:腹部超音波検査

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腹部超音波実習の6回目です。

今回は、宮林先生の目の前で実技試験があり、とても緊張しました。

 

今回も、とても有意義な実習内容でした。

次回以降の診察に役立てたいと思います。

獣医師 川口

 

小学校の課外授業をさせていただきました!

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今日は、本庄中央小の課外授業で
動物のお医者さん」についてお話させていただきました!

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将来に希望持つ、小学6年生のみなさん
「夢は獣医さん!」という子が何人もいて、うれしかったです。

みなさん、とっても真剣に話をきいてくださり、
講義後の質問もたくさんたくさんいただいて、
その熱意に、驚きました!

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 聴診器の実習を熱心に行う学生さん。

二人は、将来の夢が「獣医さん」だそうです!

 

この子たちから、明日の小動物臨床を牽引する
そんな逸材が生まれるかも?と思うと、
なんだかワクワクした1日でした。

 

当院では、小学生向けのレクチャー依頼も随時お受けしております。

「獣医さんのお仕事紹介」

「子猫ちゃんを道で保護したら、どうしたらいい?」

「家庭で、小学生でもできる!ペットケア」

などなど、テーマにあわせてお話させていただきます。

 

どうぞお気軽にご相談くださいませ。

 

獣医師 川口

文献紹介(maropitantと犬慢性気管支炎)

紹介文献:Investigation of Neurokinin-1 Receptor Antagonism as a Novel Treatment for Chronic Bronchitis in Dogs.

J Vet Intern Med, vol 30, 2016.

M.Grobman, C.Reinero

「ニューロキニン-1受容体拮抗作用は犬慢性気管支炎への新規治療薬となりうるか」

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飼い主様には、とても難しい題名で申し訳ありません。

 

犬の慢性気管支炎という病気は、

2ヶ月以上続く咳が特徴の疾患です。

残念ながら特効薬はなく、薬で咳を抑えていかねばなりません。

 

一方、maropitant(セレニア®)という動物用胃腸薬があります。

この薬は、『NK-1受容体』という部位に作用することで効果を示します。

このような成分を『NK-1受容体アンタゴニスト』といいます。

嘔吐の中枢に作用し、気持ち悪さを抑えるために使用されます。

 

NK-1受容体は、嘔吐中枢以外にも様々な部位に存在します。

では、咳の中枢をこのmaropitantで抑えられないだろうか?

というのが、この文献のテーマです。

 

わかりやすく、表記すると…

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※ここでは、PECOが何か?については割愛させていただきます。

 

調査項目は、以下の通りです。

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薬を使用したわんちゃんの飼い主様にアンケートを実施して

「改善がありましたか?」とヒアリングしました。

また、BAL液細胞診という特殊な検査により、気管支内の炎症が消えていたかも調査しました。

 

結果です。

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飼い主様へのアンケートでは「咳症状は改善した」という傾向にありました。

しかし、気管支内の炎症には改善はなかったようです。

 

考察です。

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CCBというのは、犬慢性気管支炎のことをさします。

 

今回の飼い主様への調査法では、「プラセボ効果」が出ていた可能性があります。

プラセボ効果というのは、その薬に実は効果がなくても、

「この薬を飲んだのだから効果があるはずだ」と思うことで、

あたかも効果がでているように錯覚してしまう現象のことです。

 

しかし、実際にmaropitantは犬の慢性気管支炎に対して、

鎮咳(咳止め)効果があるのかもしれません。

この文献だけでは、結論は導けなさそうです。

 

加えて筆者は、「maropitantは、犬の慢性気管支炎の治療薬として適切ではない」

とも考察しています。

その理由は、maropitantoにCCBへの消炎効果が認められず、これでは鎮咳効果が認められるばかりであり、炎症による病気の進行が抑えられない、と考えたためのようです。

 

犬の咳に対して、maropitantoが適応になるのかどうか?

診療における処方の1選択となる可能性は秘めているようですが、

引き続き情報を集め、皆様の治療に還元していきたいと思います。

 

獣医師 川口