飛鳥山動物病院 徒然日記

飛鳥山動物病院のスタッフブログです!

小学校の課外授業をさせていただきました!

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今日は、本庄中央小の課外授業で
動物のお医者さん」についてお話させていただきました!

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将来に希望持つ、小学6年生のみなさん
「夢は獣医さん!」という子が何人もいて、うれしかったです。

みなさん、とっても真剣に話をきいてくださり、
講義後の質問もたくさんたくさんいただいて、
その熱意に、驚きました!

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 聴診器の実習を熱心に行う学生さん。

二人は、将来の夢が「獣医さん」だそうです!

 

この子たちから、明日の小動物臨床を牽引する
そんな逸材が生まれるかも?と思うと、
なんだかワクワクした1日でした。

 

当院では、小学生向けのレクチャー依頼も随時お受けしております。

「獣医さんのお仕事紹介」

「子猫ちゃんを道で保護したら、どうしたらいい?」

「家庭で、小学生でもできる!ペットケア」

などなど、テーマにあわせてお話させていただきます。

 

どうぞお気軽にご相談くださいませ。

 

獣医師 川口

文献紹介(maropitantと犬慢性気管支炎)

紹介文献:Investigation of Neurokinin-1 Receptor Antagonism as a Novel Treatment for Chronic Bronchitis in Dogs.

J Vet Intern Med, vol 30, 2016.

M.Grobman, C.Reinero

「ニューロキニン-1受容体拮抗作用は犬慢性気管支炎への新規治療薬となりうるか」

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飼い主様には、とても難しい題名で申し訳ありません。

 

犬の慢性気管支炎という病気は、

2ヶ月以上続く咳が特徴の疾患です。

残念ながら特効薬はなく、薬で咳を抑えていかねばなりません。

 

一方、maropitant(セレニア®)という動物用胃腸薬があります。

この薬は、『NK-1受容体』という部位に作用することで効果を示します。

このような成分を『NK-1受容体アンタゴニスト』といいます。

嘔吐の中枢に作用し、気持ち悪さを抑えるために使用されます。

 

NK-1受容体は、嘔吐中枢以外にも様々な部位に存在します。

では、咳の中枢をこのmaropitantで抑えられないだろうか?

というのが、この文献のテーマです。

 

わかりやすく、表記すると…

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※ここでは、PECOが何か?については割愛させていただきます。

 

調査項目は、以下の通りです。

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薬を使用したわんちゃんの飼い主様にアンケートを実施して

「改善がありましたか?」とヒアリングしました。

また、BAL液細胞診という特殊な検査により、気管支内の炎症が消えていたかも調査しました。

 

結果です。

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飼い主様へのアンケートでは「咳症状は改善した」という傾向にありました。

しかし、気管支内の炎症には改善はなかったようです。

 

考察です。

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CCBというのは、犬慢性気管支炎のことをさします。

 

今回の飼い主様への調査法では、「プラセボ効果」が出ていた可能性があります。

プラセボ効果というのは、その薬に実は効果がなくても、

「この薬を飲んだのだから効果があるはずだ」と思うことで、

あたかも効果がでているように錯覚してしまう現象のことです。

 

しかし、実際にmaropitantは犬の慢性気管支炎に対して、

鎮咳(咳止め)効果があるのかもしれません。

この文献だけでは、結論は導けなさそうです。

 

加えて筆者は、「maropitantは、犬の慢性気管支炎の治療薬として適切ではない」

とも考察しています。

その理由は、maropitantoにCCBへの消炎効果が認められず、これでは鎮咳効果が認められるばかりであり、炎症による病気の進行が抑えられない、と考えたためのようです。

 

犬の咳に対して、maropitantoが適応になるのかどうか?

診療における処方の1選択となる可能性は秘めているようですが、

引き続き情報を集め、皆様の治療に還元していきたいと思います。

 

獣医師 川口

 

 

 

 

セミナー参加報告(獣医内科学アカデミー)

横浜みなとみらいで開催された学術大会に、勤務病院のご配慮により参加させていただくことができました!

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日本国内には、各地で獣医師の学術集会が開催されます。

この『日本獣医内科学アカデミー』は、国内最大級の学術集会の一つです。

様々な疾患に対して、獣医内科学のスペシャリスト達が集まります。

最新の報告・治療へアプローチ法などなど…

日々の診療に明日から役立つ情報が目白押しなんです!

 

今回学ばせていただいたことを、明日からの診療に役立てていきたいと思います。

 

獣医師 川口

セミナー参加報告(腹部Echo実習⑤ 宮林先生)

先日、横浜で開催された腹部エコー実習に、勤務病院の計らいで参加させていただきました。

講師:宮林先生(アメリカ獣医放射線学認定専門医)

実習内容:腹部超音波検査

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今回の実習は5回目、テーマは「胃腸と膵臓」の描出でした。

とても有意義な実習内容でした!

次回以降の診察に役立てたいと思います。

獣医師 川口

セミナー参加報告(胸部レントゲン検査 織間先生)

先日、群馬前橋にて開催された学術セミナーに参加しました。

講師:織間先生

テーマ:胸部レントゲン検査

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織間先生の画像診断セミナーは、

過去に何度か拝聴したことがあるのですが、

何回受講しても、新しい発見があります。

 

そして、様々な深い知識や見解を説明する際の、

織間先生の、幸せそうなお顔を拝見すると、

「あんな風な、楽しそうに獣医学に専攻する人間になりたい!」と思うのです。

(私みたいなものには、恐れ多いコメントですが)

 

今回の実習も、大変勉強になりました。

明日以降の診察に役立てていきたいと思います。

 

獣医師 川口

セミナー参加報告(麻酔学 神野先生)

先日大宮で開催された麻酔学セミナーに、勤務病院の計らいで参加させていただくことができました。

講師:神野先生 (日本獣医生命科学大学 獣医麻酔外科学)

テーマ:麻酔モニターを使いこなす

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全身麻酔下にある患者の状態を確認管理することを「麻酔モニタリング」といいます。

今回のセミナーテーマは、いかに安全な麻酔モニタリングを行うか?でした。

 

全身麻酔は、かならずしも危険な処置ではありません。

しかし、できる限り安全な麻酔をかけるには、

全身麻酔下の患者の、わずかな変化にいちはやく気づくことが大切です。

 

心電図・パルスオキシメーター・血圧計などの機械を活用しつつ、

麻酔管理者が、安全に動物を眠らせる・覚醒させるためのポイントについて、

詳細に学ばせていただきました。

明日からの、より安全な麻酔実施に役立てたいと思います。

 

獣医師 川口

セミナー参加報告(診断法 石田先生)

先日、群馬前橋で開催された学術セミナーに参加しました。

講師:石田卓夫先生

テーマ:CBC

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今回のセミナーテーマは「論理的な診断」です。

飼い主様の訴える問題点、

来院した動物さんの状態、

検査情報、疫学的傾向…などを考慮して、

現在もっとも疑われる疾患を導き出すことが「診断」です。

 

動物病院には、具合の悪い子がたくさん来院します。

その度に、診断し、治療を実施するのですが、

人間の思考というは、怖いもので

ふとすると

「よくわからないけれど、こうなるはずだ」

「以前こうだったから、今回もこうなるはず」といった、

思い込みや、根拠のない思考にとらわれてしまう傾向があります。

 

そのようなバイアスがかからないように、

科学的、論理的にひとつひとつ、丁寧に診断すること。

その大切さを、石田先生はいつもこの講義でご講演くださいます。

 

私は、臨床獣医師1年目から、

何度も何度もこの講演を拝聴させていただいておりますが、

聞くたび、いつも目から鱗です。

 

「初心、忘れるべからず!」

 

肝に命じて、明日からの診療に臨みたいと思います。

 

獣医師 川口