飛鳥山動物病院 徒然日記

飛鳥山動物病院のスタッフブログです!

セミナー参加報告(脊椎の手術 / Hemi-Layer to Layer 縫合実習)

上野で開催された外科実習セミナーに参加しました

講師:中島尚志 先生 (HJS)

テーマ:脊椎の手術 実習:Hemi-Layer to Layer 縫合

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今回のテーマは,脊椎手術が必要な疾患についてです.

その中で,椎間板ヘルニアについてご紹介します.

 

椎間板ヘルニア

 脊椎の間にある,椎間板という物質が飛び出し

 太い神経(脊髄)を圧迫することで,神経症状を招きます.

 軽い痛みから,麻痺で歩けなくなる…など,重症度は様々です.

 

椎間板ヘルニアについて,ご相談をいただくことが非常に多いです.

 手術しか治療法はないのか?

 薬と安静では改善しないのか?

 鍼治療・リハビリ…などではどうか?

 

あくまで私の見解ですが,その子の状態・ご家族の状況やご希望にあわせて,

治療方針をカスタマイズしていく必要があると思っています.

 

獣医療的に,一番改善を見込める方針は,

適切なセンターでのCT/MRIにより,椎間板ヘルニアを確定診断し,

的確な外科治療を早期に実施することです.

 

ただし,そのためには

 ・MRI/CTと手術で必要な全身麻酔は,その子にどの程度負担なのか

 ・MRI/CTと手術にかかる費用・受診の手間が,ご家族に過負荷ではないか

 ・それらの負担と,期待される治癒(利益)は,みあっているのか

を,ご相談する必要があります.

 

一方,手術をせずに,内科療法や代替療法をする場合も

(鍼治療・レーザー治療・手術なしのリハビリなど)

改善見込みが手術よりも乏しかったり,

そもそも治療効果が不明だったりと,

手術よりも負担が少ない分,不確実さやデメリットも存在します.

 

どのような治療が,その子とご家族に一番よいのか.

病気の様子や,ご家族のご希望を加味して,

ご相談していくことが大切だと,私は考えています.

 

今回のセミナーでは,外科の専門家である中島先生から,

脊椎疾患の診断,手術の利益と合併症,具体的な手術方法など

詳細にご講演いただきました.

明日以降の診療,手術に役立てていきたいと思います.

 

獣医師 川口