飛鳥山動物病院 徒然日記

飛鳥山動物病院のスタッフブログです!

研修参加報告 (埼玉動物医療センター) 鼻咽頭ポリープ

今月も、埼玉県入間の2次診療施設で研修させていただきました!

研修先:埼玉動物医療センター(埼玉県入間)

指導教官:石川先生(同センター副院長 / 総合診療科主任)

 

今回の研修でも、石川副院長から様々な症例について

丁寧にご指導いただきました。ありがとうございました。

 

今回は、研修で学んだ症例のひとつ、

「猫の鼻咽頭ポリープ」についてご紹介します。

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<そもそも、鼻咽頭ってどこにあるんですか?>

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鼻から吸い込んだ空気や、口で吸った空気は

いったん喉の奥で合流し、気管へと流れていきます。

この、鼻と口が合流する部位を「咽頭」と言います。

 

咽頭は3部位に分かれています。

口から喉の奥へ続く「口部咽頭

鼻から喉の奥へ続く「鼻部咽頭(咽頭)」

口部咽頭と鼻部咽頭が合流する「喉頭

イラストの赤い文字あたりが、鼻咽頭です。

ここには、中耳につづく管(耳管)も開口しています。

 

<鼻咽頭ポリープ??どんな病気ですか?>

咽頭に発生したポリープ(しこり)により

鼻や耳、時に平衡感覚の異常が出る病気です

猫では、若齢で発生することが多いとされています

 

鼻の閉塞による呼吸困難で、いびきの様な呼吸音がしたり

慢性的な鼻炎を起こしたりします

 

耳管を通じて耳側にポリープが進展すると、慢性的な外耳炎を招き

頭を振ったり、耳をひっかく動作が目立つようになります

また、斜頸や平衡感覚の異常(前庭症状)が見られることもあります

 

<どうやって診断するのですか?>

おとなしい猫ちゃんであれば、口腔内の触診でわかることがあります。

こわがる猫ちゃんには、麻酔をかけて口腔(軟口蓋周囲)を確認します。

 

咽頭ポリープの、中耳や鼓室の影響を確認するには

画像検査が実施されます。

レントゲン検査でわかることもありますが、

正確な評価にはCT撮影が必要になることもあります。

 

治療にはどんな方法がありますか?

手術でポリープを切除します

ポリープの大きさや進展具合により、

周囲の組織(軟口蓋や外耳道)を切開したり、

鼓室胞の内部洗浄を加える必要があります。

 

咽頭ポリープへの対処は、

ポリープの位置、進展具合、合併している鼻炎や中耳炎の程度によるようです

どのように検査を実施するのか?

適切な外科対応はどのようなものか?

猫ちゃんの状態をみながら、ご家族とご相談する必要があります。

 

今回埼玉動物医療センターでは、

咽頭ポリープ以外にも様々な疾患への対処について学ばせていただきました。

明日以降の診療に役立てていきたいと思います。

 

獣医師 川口