セミナー参加報告(骨折と脱臼 / ワイヤリング実習)
先日、上野で開催された外科セミナーに参加しました
講師:中島尚志 先生 (HJS)
テーマ:骨折と脱臼の診断・治療 / ワイヤリング実習
「この子は骨折しています」
飼い主様にお伝えすると、多くの方がこうおっしゃいます。
「よかった、骨折ならすぐに元にもどりますね!」
しかし、なかなかそう簡単でもないのです。
動物病院で骨折の手術をしてもらったけれど、
うまく治らなかった…というケースが後を絶ちません。
「一般動物病院で手術した骨折の8%に、癒合不全が起きている(治っていない)」
と分析する専門家もいらっしゃいます。
治らない原因はなんでしょうか?
技術不足?
いえ、それも否定はできないのですが、
一番多いのは、不適切な手術法の選択だとされています。
ひとえに骨折といっても、
折れ方・砕け方も様々です。
また、動物さんの種類・性格・年齢も含めると
まったく同じ症例はいないと言っていいでしょう。
ですので、骨折の手術というのは
「どのような状態には、どう対処するのか」
その症例ごとに合わせた対応が必要です。
仮に完璧な技術で手術が終了できても、
その病態にあわない手術方法では、治らないこともあります。
その判断ができる知識と経験がとても重要となるのです。
今回、ご講演いただきましたHJSの中島先生は
全国各地で手術をなさる外科のエキスパートです。
本講義では、骨折・脱臼症例に関して詳細にご説明いただきました。
明日以降の診療に役立てていきたいと思います。
余談ですが、セミナーでは実技講習もしていただきました!
ワイヤリングといって、折れた骨を手術用のワイヤーで固定する方法です。
(割り箸を折れた骨に見立てています)
外科技術も日々精進!
よりよい医療を提供できるよう、努めてまいります。
獣医師 川口