セミナー参加報告(犬と猫の外傷性脱臼 獣医麻酔外科学会)
先日、品川にて開催された学術セミナーに参加しました。
主催:獣医麻酔外科学会
テーマ:犬と猫の外傷性脱臼
「脱臼」と聞くと、みなさんはどんなイメージをお持ちですか?
多くの方は「はめて戻せば、すぐ治るもの」と考えるのではないでしょうか
しかし、犬と猫の脱臼、そううまくはいかないのです。
これには理由があります
それは、犬・猫の脱臼の多くが、
「もともと関節自体がおかしくて、その結果外れる」からです
生まれつきの関節や靭帯の異常、
関節が変形していく病気などが先に存在し、
そこに外傷が加わって、脱臼をおこします
ですので、ただ元の位置にもどして固定しても
関節や靭帯がおかしいままなので、再脱臼することが多いのです
では、手術なら完全に治せるのでしょうか?
実は、これも一筋縄ではいきません。
せっかく手術を実施しても、再脱臼をおこすことがあります
犬・猫が手術後安静にしてくれない、
手術時すでに関節の変形が重度である…など要因は様々ですが、
「これならば確実に治せる!」という手術方法はありません
それゆえ、現在小動物医療の現場では、
関節脱臼への治療法として、幾通りもの方法が提案され
日々新しい、より良いものがないかと研究されています
今回、小動物整形外科のスペシャリストである、
麻布大学の藤田先生、
日本大学の枝村先生、
DVMsAMCの小林先生森先生、
マーレ動物クリニックの種子島先生、
D&C Phisical Terapyの長坂先生により、
肩・肘・股・手根足根各部位の脱臼について、
現在提唱されている治療法の是非など詳細にご講演いただきました
とても盛りだくさんな講習会でした
明日以降の「外傷性脱臼」の診断と治療に役立てていきたいと思います
獣医師 川口