飛鳥山動物病院 徒然日記

飛鳥山動物病院のスタッフブログです!

ちょび

ちょび(享年14歳)

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飛鳥山動物病院代表の川口が、小学生の頃に家に迎え入れたワンコです。

(その後私の祖母と姉が、大切に育ててくれました)

 

私が小学生の頃、「動物のお医者さん」という漫画が流行しました。

チョビというシベリアンハスキーと、獣医を目指す大学生たちの物語です。

 

私は当時からこの漫画の大ファンでして、

当然、新しく迎え入れた犬も「ちょび」と名付けました。

 

いつでも元気いっぱい!お散歩大好き!わんぱくな男の子でした。

 

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私が獣医師の国家試験にむけて受験勉強をしている頃、

ちょびの体には、悪い病気が蝕み始めていました。

「リンパ腫」という悪性腫瘍(がん)です。

 

ちょうど、国家試験・就職・東京から埼玉へ引っ越し…と

自分自身に余裕がなかった時でしたが

病気のちょびに寄り添い、看病してくれたのは、私の姉でした。

しかし次第に病気は進行し、

ついには大好きだったお散歩で歩くこともできなくなり、

姉や母が抱っこで、外へ連れて行ってあげていたそうです。

 

そんなある日の、明け方頃。

姉はいつも通り、ちょびの傍、寄り添って寝ていたのですが、

ふと姉が目をさますと、

なんとちょびが立ち上がっていたのです!!

 

そして、元気だった頃のように、ちょびが玄関へ向かいました。

(お散歩に行くよ!というと、誰よりもはやく玄関に行くのが、

 元気だった頃のちょびの日常だったのです)

 

え!?散歩に行きたいの!?

驚いた姉がリードをつけてあげると、

なんと十数日ぶりに、自分の足で散歩へ出かけたのです。

 

その頃、姉とちょびがくらしていた一軒家は、

目の前に緩やかな下り坂があり、

その坂を降り、桜並木を抜けると、浅川の河川敷へ。

元気だった頃の、ちょびが大好きなお散歩コースです。

 

まるで病気が治ったかのように、リードをもつ姉を引っ張って、

ぐいぐい土手まで向かうちょび。

「ずいぶん調子がいいみたい。病気がすこしよくなったのかな?」

不思議がる姉を連れて歩くちょび。

大好きな河川敷を堪能して、並木に戻ってきて。

さぁ、あの坂を登って家に帰ろうね。

 

そんな時でした。

元気そうに、家路へ向かう坂道を登るチョビが、

ふらっとよこに倒れ込んで…

 

そのまま、眠るように息をひきとったのだそうです。

 

 

不思議なことなのですが、

動物病院で長く勤務していると、このような体験をした方に多く出会います。

 

私の勝手な解釈ですが、

きっと動物さんは、何かのメッセージを遺して旅立つのだと思います。

ちょびの場合は

「(姉へ)ありがとう。僕はこんなに元気にお散歩して、旅だったよ。

 幸せだった。だから、自分を責めないでね。」

だったのではないかと、思っています。

 

長文、失礼しました。

また会えるなら、ちょびと浅川河川敷を散歩したいです。

 

獣医師 川口