セミナー参加報告 (胃捻転-胃拡張症候群の管理)
先日、群馬で開催された外科セミナーに参加しました
講師:浅川 誠 先生 (どうぶつの総合病院)
テーマ:胃捻転-胃拡張症候群の麻酔管理・外科・術後管理
胃拡張-胃捻転症候群(gastric dilation-volvulus syndrome=GDV)って?
突然胃が捻れて、たまったガスで胃がパンパンになる病気です。
循環が悪く、とても危険な状態です!
なんらかの治療を施さないと、ほぼ100%命を落とすとも言われています。
GDVはどんな子がなるの?
遺伝的に発生しやすい犬種があるようです
胸が深い犬に起こりやすいとも言われています。
海外では大型犬で多数報告されていますが、
(グレートデン・アイリッシュセッター・ワイマラナー・スタンダードプードルなど)
日本では小型犬、特にミニチュアダックスでも散見されます。
稀に猫にも発生します!
GDVはどのように治療するの?
基本的に緊急手術が必要です。
しかし、ほとんどの子が強い循環不全をおこして来院するので、
そのまま全身麻酔を行うと致命的になりかねません。
そこで救急管理を行い、循環不全を軽減させてから、手術を実施します。
(胃のガスを抜く、静脈輸液を行う、血液のバランスを整える薬を使うなど)
GDVの手術って?
とにかく、ねじれた胃をもとの位置にもどします。
その際、ねじれにより悪くなった胃(壊死部)も切除します。
壊死部が広いと、命が救えないこともあります。
また、再度ねじれないよう、胃を固定する処置も行われます。
手術すれば必ず助かりますか?
しっかりと対応ができたとしても、残念ながら
20-30%の子がGDVの手術中・手術後に亡くなると言われています。
とても怖いです…どうしたらいいのですか?
急に何度も吐こうとする、お腹が膨れてきた、ぐったりしている
そんな症状が、特に大型犬やダックスで見られたら
すぐに動物病院に相談しましょう。
(もちろん、GDVではない病気の可能性もありますが、ご自身で判断せず、
獣医さんに診断してもらうようにしましょう!)
本日のセミナーでは、アメリカの獣医麻酔科専門医であり、
獣医外科レジデントを修了された浅川先生から、
GDVの管理について詳細にご説明いただきました。
明日以降の診療に役立てていきたいと思います。
獣医師 川口