飛鳥山動物病院 徒然日記

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【文献紹介】催吐処置に食塩を使うと、脳浮腫のリスクが伴うようだ

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Kasai CM ,King R.
"Hypernatremia."
Compend contin Educ Vet. 2009 Apr;31(4): E1-6; quiz E7

PMID: 19517406

タイトル:高Na血症について

==アブストラクト===
犬や猫における食塩中毒は時に致命的となることがある。
過剰な量の食塩摂取が動物の偶発的誤食にしろ催吐目的にしろ、
食塩中毒による臨床症状についての認識が重要である。
食塩中毒の臨床徴候は高ナトリウム血症と、その結果惹起される脳浮腫によって発生する。
治療には、神経学的状態、血清および血漿電解質、および血清浸透圧を
注意深くモニターしながら輸液療法を迅速に開始することが肝要である。
食塩投与は、かっては犬・猫の催吐処置法として使用されていたが、
致命的な合併症リスクの観点から、現在では推奨されていない。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19517406

 

<コメント>

「変なものを食べてしまいました、塩を飲ませて吐かせればいいですか?」

こんな質問をいただくことがあります。

 

ご自宅で無理に吐かせないでください!(吐かせると逆に悪化する物質もあります)

そして、もし吐かせるとしても、食塩は使用しないでください

 

塩を多量に飲ませて、ちゃんと吐ければいいのですが、

もし吐けないと食塩中毒になるリスクがあります。

 

また、ネットでは「オキシドールなら安全に吐ける」などの記事も見つかりますが、

オキシドールによる催吐処置も、かなり慎重な管理が必要ですので、

ご自身で判断せず、かならずかかりつけの先生に相談してくださいね

 

もちろん、異物は食べさせない・飲ませない、が一番!です

変なものを食べてしまわないよう、予防策もしっかりとりましょう!

 

 獣医師 川口