研修参加報告(埼玉動物医療センター)
本日も、埼玉県の2次診療施設で研修させていただきました。
研修先:埼玉動物医療センター(埼玉県入間)
指導教官:石川先生(同センター副院長 / 総合診療科主任)
本日もたくさんの症例について、診断や治療に関するご指導いただきました
本当にありがとうございます。
さて、そこで学んだ病気について少しだけご紹介いたします。
バセンジーという犬種をご存知ですか?
コンゴ生まれの狩猟犬であるバセンジーは、
とてもとても古い歴史を持っている「古代犬」です
なんと、古代エジプトでファラオに献上された記述まであるそうです
さて、このバセンジーには発生しやすい疾患があります
「ファンコーニ症候群」という腎臓の疾患です
ファンコーニ症候群になると、腎臓の近位尿細管が機能不全を起こし、
尿へと過度に排出され、血液のバランスが大きく乱れてしまいます
先天性要因で発症したファンコーニ症候群は、完全に治すことは難しく、
乱れた血液 (低リン血症/近位尿細管性アシドーシス)を調整することで
症状の緩和や腎臓負担を軽減することが目標となります
治療には様々な方法がありますが、
特に有名なものが「Gontoプロトコール」です
血液ガス値を測定しながら、炭酸水素ナトリウムを投与する方法なのですが、
このGontoプロトコールの開発には
バセンジーへの深い愛情が関わっているのだそうです
この治療法を開発した、アメリカの医学博士Gonto先生
自分の愛犬(バセンジー)がファンコーニ症候群を発症してしまい、
なんとかしてあげたくて、なんと自分で研究し、治療法を開発してしまった!
それが「Gontoプロトコール」です
Gontoプロトコールに限らず、
現代の獣医学専門書に紹介されている治療法、そのひとつひとつに、
病に苦しむ動物たちをなんとか救ってあげたくて、
必死に研究された先生たちがいる
そう思うと、イチ獣医師としてとても胸が熱くなる1日でした
長文失礼しました
獣医師 川口
※追記
バセンジーのファンコーニ症候群には様々な治療法が提唱されています
本投稿は、Gontoプロトコールのみを推奨するものではありませんのでご注意ください
バセンジーのファンコーニ症候群についてより詳しく知りたい方は
ご自身でお調べになるだけでなく、
当院、またはかかりつけの獣医さんに直接ご相談するようお願いいたします