日本橋のかつおぶし
私が、すこしほっこりした、飼い主様からのお話です。
あるご夫婦の大切な猫ちゃんが、
病気でごはんを食べなくなってしまいました。
ご夫婦にはお孫さんがいます。
埼玉の遠方に住む、小学生の男の子です。
普段から、時々遊びに来ていたそうです。
男の子は、その猫ちゃんが大好き!
でも、その猫ちゃんは、男の子が大嫌い!(笑)。
来るのがわかると、いっつも怒って、姿を隠してしまうそうなんですが
男の子はそれでも、好きで好きでたまらなかったそうです。
そんな、大好きな猫ちゃんが、体調不良で食べられないと聞いて、
なんとかしてあげたい、と思った男の子。
ここからの行動力、すごいです。
「関東一おいしいかつおぶしなら、きっと食べるはず!」と、
一生懸命にお店をさがし、見つけ出したお店
ここは、俳優の里見浩太朗さん行きつけの高級鰹節を取り扱うお店。
このお店を調べあげると、なんと自分で埼玉から日本橋まで出向き、
その猫ちゃんのためにかつおぶしを購入。
手に入れた高級かつおぶしを手に、お見舞いに向かったそうなのです。
TV番組「はじめてのお使い」をはるかに凌ぐ行動力です。
男の子が、この高級かつおぶしをお見舞いに持って行ったところ、
他には何にもたべなかった猫ちゃんが、
なんと、ぺろりと平らげてくれたそうです!
きっと、とってもおいしくて、
そして、男の子のやさしさが、うれしかったんでしょうね。
そして、それを機に、猫ちゃんは男の子のことが、
とっても大好きになりました。
自宅へお見舞いに行くと、男の子を玄関までお出迎えして
スリスリしてくるくらいにです。
残念ながら、その後猫ちゃんは亡くなってしまうのですが、
晩年は、男の子が差し入れる「かつおぶし」を食べ、
大好きな男の子に撫でてもらいながら、穏やかな毎日だったそうです
そんな小学生の愛情深さに、すこし胸がジーンとしました。
今度私も、大和屋のかつおぶし、買いに行ってみたいと思います。
獣医師 川口