課外授業「町たんけん」にご協力しました!
小学校の課外授業にご協力しました!
6/6、本庄市立中央小学校が主催する課外授業「町たんけん」に、
勤務病院である、本庄犬猫病院にてご協力させていただきました
この「町たんけん」というのは、
小学2年生のみなさんが南大通りを歩いて「たんけん」しながら、
指定のお店に自由に入り、そこで質問・職場体験ができてしまうという
なんだかすばらしい授業科目なんです。
美容室、ケーキ屋さん、携帯電話ショップ、コンビニ…などなどが参加されていて
本庄犬猫病院も、微力ながらご協力させていただいております。
小学生のみなさんから、今日も
たくさんたくさんご質問いただきました!
ありがとうございました!
動物病院って、こんなところなんだ〜と、
すこしでもみなさんの経験・成長につながってくれたなら、嬉しいなぁと思います。
獣医師 川口
文献紹介(犬のキシリトール中毒)
紹介文献:
Retrospective evaluation of xylitol ingestion in dogs: 192 cases (2007-2012)
Meghan R. DuHadway,et al.
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 25(5) 2015, pp 646-654
「キシリトールを摂取したイヌ192例の回顧的調査 (2007-2012)」
ワンちゃんにキシリトールガムは危ない!
最近では、かなり一般的な情報となりましたが
まだご存知ない方もいらっしゃいますので、
啓蒙もかねて、ご紹介いたします
<概要>
・犬がキシリトールガムを食べると危険!
・血液検査では、低血糖と肝臓値の上昇が発生
・よく見られる症状は、嘔吐・昏睡・下痢
・中毒量は犬により差があるものの、 0.1g/kg以上の摂取は危険か
・摂取して2日は、注意が必要
「回顧的調査」というのは
いままでの医療記録をふりかえって調べてみたよ、という意味です
この調査が行われた2007年当時、獣医療の現場では
人では安全で有益なキシリトールは、
犬が食べると、低血糖と肝不全が起きる??と噂される程度で、
正確な調査報告はされていませんでした
そこで文献の著者は、こう考えました。
「よし、今まで病院に来た、キシリトールを食べた犬の情報を確認しよう!」
本研究の目的は、以下の通りです
調査は、アメリカの大学付属動物病院3件で実施され、
カルテの調査、飼い主様への追跡電話という形式が採用されています
調査項目は、以下の通りです。
「臨床徴候」というのは、人間の医療では
「患者が医者に訴えた症状」を意味しますが、
獣医療の場合は、わんちゃんはしゃべることができませんので、
「飼い主様が訴えた、自分のわんちゃんの症状」を意味します
調査結果です。
1.どのような症状がでるのか?
「徴候なし」というのは、
「キシリトールを食べちゃったけど、何にも症状ないよ」という意味です
食べてしまった犬の80%は、症状を示さなかったようです
認められた症状の内訳は、嘔吐が25件と一番多く、
ついで昏睡、下痢、運動失調…などが認められたようです
キシリトールを食べた後、なにも症状がない子と、
症状があらわれた子で、摂取量に差がないのか?も調べました
体重あたりの摂取量で表記しています
症状があらわれなかった群の摂取量は、0.03 g/kgから 3.64 g/kgでした
一方、症状があらわれた群の摂取量は、0.12 g/kgから 2.13 g/kgです
これは、
「3.64 g/kg食べてもなんともない子もいたし、
0.12 g/kgしか食べていなくても、症状がでた!」という意味で、
その子によって、反応に差がある可能性が疑われました
2.血糖値はどの程度低下するのか
この文献では、まず低血糖をこう定義しました。
「観測中の最低血糖値が、 60 mg/dl以下になること」
「症状を伴う低血糖」は、摂取した犬全体の4.2%でした。
そこで、一番よく質問が出る、
「キシリトールを食べて何時間後が、一番血糖値がさがるのか?」
これを調査したのが以下の図です
血糖値は、摂取およそ0.5時間(30分)でもっとも下がる傾向にあるようです。
しかし、恐ろしいことに、
「キシリトールを食べてから30時間もたってから低血糖 (最低血糖値)になった!」
という症例もいるようなのです
まちがえてキシリトールを食べた子は、2日は安心できないかもしれません
3.肝機能不全はおこるのか?
肝酵素値というのは、血液生化学検査にて確認される項目のひとつ
肝臓に負担がかかっていると、上昇します
一方、「機能不全」というのは、肝臓が仕事できていない状態を意味します
肝臓は解毒する臓器ですので、機能不全を起こすと全身に悪影響が出ます
肝酵素値が上昇し、肝臓に負担がかかっていても
肝臓がしっかり仕事ができていれば
「肝機能不全」とは呼びません
今回の調査では、
摂取後の肝酵素値の上昇は、全体の21.9%で認められましたが
肝機能不全に陥った症例は、なんと0でした!
文献筆者の考察です
この著者のお茶目なところなのですが、
今回の調査では結果がでていないことまで、考察しています。
(中毒量の推定、吐かせる処置の是非について)
そこは参考に止めるとして、この中毒量「0.1 g/kg」というのは、
どの程度の量なのでしょうか?
ここからは、文献にない補足資料です
実はキシリトールという甘味料成分は、天然食品にも含有されています
代表が、上記の果物・野菜です
では、犬はこれらを食べると中毒になるのでしょうか?
あくまで理論上の数値ですが、
もし仮に「イチゴで犬がキシリトール中毒」になるには、
体重1kgあたりイチゴ1パック食べる必要があります
日本に多いわんちゃん、プードルやチワワが推定体重3kg位だとして、
イチゴ3パックはさすがに食べられませんよね
ですので、おそらく犬がイチゴによるキシリトール中毒になるのは困難のようです
しかし、これがキシリトールガムとなると
話はがらっと変わります
5kgの犬が、たった一粒たべただけで中毒量に達してしまうのです!
先ほどのチワワ・ブードルなど体重3kg代の犬が、
1粒食べたらと想像すると …おそろしいですね
万が一、キシリトールガムを食べてしまったら
一刻もはやく、かかりつけの動物病院にご相談ください!
<注意>
ご紹介している文献の学術情報は、その後の追加報告により、
より正しい内容や異なる方針に、訂正・修正されることもあります。
本ブログの内容をそのまま鵜呑みにせず、疑問点や不安点は
かかりつけの獣医さんにまずはご相談していただくよう、お願いいたします。
獣医師 川口
セミナー参加報告 (CBC 石田卓夫先生)
先日、群馬前橋で開催された学術セミナーに参加しました。
講師:石田卓夫先生
テーマ:CBC
現在勤務している動物病院のご配慮により、
夜の学術セミナーに参加させていただきました。
CBCとは、Complete Blood Count (全血球検査)のことです。
血液中の、赤血球・白血球・血小板といった成分をカウントし、
貧血の有無・炎症の状態などを確認します。
このCBC、実に頻繁に行われる検査です。
それは、特に「体調が悪いけれども、なぜなのかわからない」時に、
広く様々な異常をひろいあげる目的で実施する検査のひとつだからです。
このような目的の検査を、スクリーニング検査といいます。
それゆえ、CBCを実施した結果から、何が疑われるのか?
検査結果の評価はとても複雑となることもあります。
今回のセミナーでは、検査手技のコツ紹介に始まり、
実際に得られた結果の評価方法についてまで、詳細にご説明いただきました。
明日以降の診療に役立てていきたいと思います。
獣医師 川口
セミナー参加報告(胸部レントゲン検査 織間先生)
先日、群馬前橋にて開催された学術セミナーに参加しました。
講師:織間先生
テーマ:胸部レントゲン検査
勤務している動物病院のご配慮で、
群馬の学術セミナーに参加させていただきました。
胸のレントゲンを撮影するシチュエーションというのは
「呼吸が荒い・息が苦しい」時、
すなわち、かなり重い症状で来院した動物さんに、
一刻も早く適切な治療を施す必要のある時です。
それゆえ、胸部レントゲン検査の評価は、
その直後の治療の成績につながります。
「救命に関わる重要検査」なのです。
今回、この重要なレントゲン検査に関して、
画像診断学の権威である織間先生より、詳細にご講演いただきました。
明日以降の診療に役立てたいと思います。
獣医師 川口
セミナー参加報告 (画像診断 小野先生)
先日、勤務病院のご配慮により、
「あさか台動物病院」さんにて開催された、学術セミナーに参加しました。
講師:小野 晋 先生
テーマ:画像診断
今回のセミナーは「症例相談」という形式でした。
普段の診療で疑問に思った検査画像を、参加者がもちより、
画像診断の権威である小野先生に相談する、というスタイルです。
今回のような症例相談形式のセミナーに参加すると、
「あぁ、こんなにもたくさんの先生たちが、
日々様々なことに悩み、苦しみながら、
でも、なんとかしたいと、すこしでも成長したいと研鑽されているのだな、
私もまけずにがんばらねば!」とガッツをもらえます。
今回セミナーにて学ばせていただいたことを活かし、
明日からの診療にて、より精度の高い画像診断ができるよう努めたいと思います。
獣医師 川口
研修参加報告 (埼玉動物医療センター)
先日、勤務動物病院のご配慮により、2次診療施設で研修させていただきました。
研修先:埼玉動物医療センター(入間)
指導教官:石川先生(同センター副院長)
このセンターは、埼玉県でも有名な2次診療施設です。
そもそも、「2次診療」というのは何か?と言いますと、
いわゆる「町のお医者さん・かかりつけ病院」が「1次診療」、
その「1次診療」で手に負えないような難治症例や、診断困難症例を
ひきうけてくださる専門診療が「2次診療」です。
ここ埼玉動物医療センターは、埼玉県でも有名な2次診療施設、
特殊な画像診断設備である、CTとMRIを完備し、
専門外来として、腫瘍・眼・整形外科・皮膚・神経が存在します。
私はこのセンターで、専門外来科ではなく、「総合診療科」で研修に参加しています。
「総合診療科」というのは、かみくだくと
「何が原因かはっきりしない(専門科に分類しづらい)難しい症例を紐解いて、
しっかりと診断へと導き、適切な治療をほどこす」科です。
ですので、ありとあらゆる疾患が集まり、
そのひとつひとつに、論理的な診断がされていく行程を研修できます。
広く深く、勉強ができるというわけなんですね!
このセンターの先生たちは、どの方もとても勉強熱心です。
自分自身を成長させよう!と、熱意を持って仕事されていて、
私もエネルギーがもらえます。とても有意義な研修です。
また次回も楽しみです。
獣医師 川口
セミナー参加報告(腹部Echo実習 宮林先生)
先日、横浜で開催された腹部エコー実習に、勤務病院の計らいで参加させていただきました。
講師:宮林先生(アメリカ獣医放射線学認定専門医)
実習内容:腹部超音波検査
腹部超音波実習の6回目です。
今回は、宮林先生の目の前で実技試験があり、とても緊張しました。
今回も、とても有意義な実習内容でした。
次回以降の診察に役立てたいと思います。
獣医師 川口